プライベートなスペースである水まわり空間にもこだわりを持ち、自分らしく美しく設えることはインテリアを楽しむ上で欠かせない要素となりました。清掃性に優れ空間の質を高めるタイルからさらに、鏡、水栓、洗面ボウルなどのデザインが多種多様になり、より自由な水まわりを創造することが可能になりました。
中でもイタリア ローマのCielo(チエロ)社はこれまでにない美しい色彩と優れたデザインが魅力の洗面ボウルを手がけるブランド。洗面ボウルといえば「白」が当たり前のような時代に多彩な色を展開するなど画期的な製品を手がけてきました。今回はCielo社のフィロソフィーや洗面ボウルが生み出される現地の様子をご紹介します。
チエロ社は、伝統的な陶器の都市であるイタリア・ローマのチビタ・カステラーナを拠点とするサニタリーブランドです。
チビタ・カステラーナは陶器に適した高品質な原料が採れ、古来より陶器の製造が盛んな地域です。イタリアのほぼ全てを担うと言っていいほど多くの衛生陶器ブランドが工場をかまえています。
cieloとは、「天空」を意味するイタリア語です。
20世紀初頭、エトルリア陶器の流れを汲む、アントニオという名の卓越した技術をもつ職人がチビタ・カステラーナにオープンした陶芸工房がルーツ。その後、20世紀半ばより食器製造のみならず、便器や洗面ボウルなどの衛生陶器の製造を開始しました。その当時はどこにでもあるような普遍的な製品を作っていました。
優れた職人技によって生み出される比類なき独創性。
時は巡り、21世紀になった頃、アントニオの後継者たちが彼のものづくりのポリシーを現代に甦らせるべく、チエロを全く違うブランドに革新させます。そのポリシーが、今も引き継がれる「ハンドメイド・イン・イタリー」です。
細部にまで職人の手作業が施された、美しいフォルムのSHUIシリーズが2005年に登場すると、瞬く間に多くの建築メディアに取り上げられ、注目を浴びました。
彼らは自らをSlow Factoryと名乗り、いかに時間と製造コストを下げるかという近年の典型的な工業的アプローチに反し、「イタリアの手作りの文化」に回帰し続けています。cieloの製品は、効率的に大量生産できるようなものではありません。しかし、どの製品にもハンドメイドならではの繊細さや美しさが宿っています。
型から取り出された陶器を削り出すように成型しています。さらに、ホワイト以外のカラーモデルの釉薬がけは、機械のスプレーではなく全て手作業で施されます。手間を惜しまないこの工程を経ることで、より繊細で複雑な成型が可能になり、チエロ独特の世界観を持った製品が出来上がります。
このハンドメイド技術を使い、近年のトレンドのエッジの薄い洗面ボウルの開発にいちはやく取り組んだのもチエロ社です。
バスルームに新たな価値観を。チエロの色の再発明。
チエロは、水まわりの陶器にファッショナブルなカラーを取り入れたオリジネイターです。
Le Terre di Cielo(テッレ・ディ・チエロ)「チエロの大地」と名付けられた美しいカラーは、それぞれにユニークなコンセプトがあり、繊細でマットな手触りはホワイト一辺倒の水まわり業界に衝撃を与えます。
そのカラーコンセプトは、権威あるデザインアワードを立て続けに受賞。世界中のデザイン業界に多大なインパクトを与えました。
AWARDS
German Design Award 2015 Excellent Product Design
最も審査が厳しい「賞の中の賞」と呼ばれるアワード。
Muuuz International Awards 2014
建築家のコミュニティArchiDesignClubから革新的なデザインに対して贈られるデザインアワード。
ICFF Editors Award 2015 The Best in the Kitchen and Bathroom
ニューヨーク国際コンテンポラリー家具見本市のなかで、影響力を持つメディアの編集者により選定されるアワード。2015年のキッチン・バス部門においてイタリアのブランドとしては唯一受賞。
トップデザイナーとの対話から生まれる最先端のデザイン。
チエロの製品は、アルマーニの全世界店舗のデザインやカニエ・ウエスト邸の設計などで有名な巨匠「クラウディオ・シルベストリン」や、現代アメリカでもっとも成功しているデザイナーと言われるポップスター「カリム・ラシッド」といった、世界的なデザイナーとのコラボレーションから生み出されます。彼らの刺激的なアイデアを形にすることで、ありきたりな産業デザインと古いスタイルを繰り返すことなく、新鮮で驚きのあるものづくりを可能としています。卓越したハンドメイド技術と、スターデザイナーの最先端のアイデアの融合がチエロの真髄です。
2012年のシルベストリンのデザインの「レ・ジアレ」のグッドデザイン賞・ドイツデザイン賞・ADIデザインのトリプル受賞による衝撃を皮切りに、カリム・ラシッドの「エンジョイ」や、アンドレオ・パリジオ&ジュゼッペ・ペッザノによる「カティーノ」など、国際的なデザインアワードを立て続けに受賞しています。
そして、世界中の著名なプロジェクトにも幅広く採用され、スターホテルをはじめ、クオリティを求められるラグジュアリーな空間を彩っています。
チエロが提案する「家具のような水まわりアイテム」
進化を続けるチエロのデザインは、サニタリーエリアとリビングの境界線もなくしてしまいます。
2017年のミラノサローネで発表された製品のコンセプトは、「家具のような水まわりアイテム」。
個性的なミラーやシェルフと一体型となった洗面ボウルなど、水まわりの陶器が新たに進化した姿を見せてくれました。
アクアピアでも、「カティーノ」「シーワ」といったサニタリーファニチャーとでもいうべき新たな地平をご提案いたします。
セラミックの新たな可能性にぜひ注目ください。