家族とタイル、新しい暮らし。 #1
暮らし方がとても見直される時代になりました。目まぐるしく変化する社会情勢や自然災害などの影響は、生活や住まいにより本質的な豊かさを求めるムーブメントのきっかけとなりました。
今、新しい家をつくる。そして空間にタイルを使用することを決めた家族を訪ねました。空間をいかに創造的に使い、家族との時間をどう豊かに過ごすか。居心地や質を求めた結果のひとつに、タイルという選択をした家づくりの現場です。今回はタイルを張っていく施工工程から、空間が出来上がるまでの過程を追いました。さて、空間の中で大切にしたい価値観や理想の暮らし方とは。
生まれ育った自然豊かな地に、新築の平屋を。
山に囲まれた自然豊かな静かな地に、一軒家を建てることにした康之さん、奈々さんご夫妻。この地域は康之さんが生まれ育った場所でご実家があり、ご両親から土地の一部を譲り受けることになりました。
元々地元への想いが強かった康之さんと、平屋に住みたい!という奈々さんの想いが重なり、家づくりがスタート。二人にとってはもちろん、何もかもが初めての家づくり。まずは入念にリサーチをするところから始まりました。Instagramで見つけた建築家の完成見学会に足を運び、対話を重ねた上で設計をお願いすることにしました。
康之さんと奈々さんが今まで暮らしていた家は狭くはありませんでしたが、新しい暮らしにおいて解決したい要望をいくつか持っていました。例えば、家事動線や、採光面など。また今回は緑の多い環境ということもあり、周囲環境との調和も大切に考えていました。
要望を整理し取捨選択を行なった結果、大切にした条件は、光あふれるリビング、木の温もり、そして平屋であること。設計プランを何回も変更しながらたどり着いた形は、大きな屋根が象徴的な、すっきりとしたシンプルなデザイン。家族が集まるリビング、ダイニングスペースには大きな窓がいくつも設けられ、1日の流れと外との繋がりを十二分に感じることができます。
タイルを選ぶきっかけ
内装材には天然木が多用されることになりましたが、一方で奈々さんはキッチンの床をタイルにしたいという憧れがありました。
ただ、調整を重ねていく上で予算面に正直少し足踏みも。そんな中、タイルを使ったことのある知人から機能性やメリット、デメリットを聞く機会に恵まれました。行動の早い奈々さんは聞いてすぐショールームに足を運びました。
最も響いたのは、タイルのデザインの豊富さ。魅力的なデザインの数々に色々張ってみようかなという想いが一層強くなりました。
また、掃除が苦手な奈々さんにとってお手入れに優れた点も採用する後押しになりました。
結果的に康之さんと奈々さんがタイルを張る場所に選んだのはキッチンの床・壁、洗面室壁、
そしてトイレ壁という3箇所。
キッチン床は憧れが強かったので、直感でエイジングがかった雰囲気のデザインを。
また、壁は前の稼働棚とのバランスを考慮し、表面の凹凸が作る陰影がさりげない存在感を放つ白いタイルを選びました。
昔からレストラン、カフェ巡りの合間にトイレをチェックすることが大好きだった奈々さん。新しい家の洗面やトイレの雰囲気にも特段こだわりたいと考えていました。洗面室の壁には清潔感のある柔らかな水色をベースにしたタイルを選びました。絹のようなマットな手触りが空間の透明感を引き立て、お気に入りの鏡との相性も抜群です。また、トイレは好みと直感で冒険してみよう!という気持ちで選んだ幾何学模様のモダンな大理石タイル。贅沢にも一面に使用しました。眺めているだけで時間が経つのを忘れてしまうような優雅な質感の壁は、奥さまのお気に入りの場所となりました。
康之さん、奈々さんご家族はまるで絵に書いたような仲の良さが魅力的なご一家です。その奇を衒うことのないナチュラルな価値観がそのまま反映された家の中に、タイルというこだわりをプラスしたことで、個人で過ごす時間も想像以上に楽しめる空間に仕上がりました。康之さんと奈々さんが出した家づくりで大切にしたい要望に書き添えられていた “帰ってくるのが楽しみになる家”、まさにその言葉通りの家が完成しました。
家づくりを終えて
シンプルな家にアクセントをと思い、張ったタイルが図らずも全体でうまくまとまった感覚がありとても満足しています。
タイル=レトロな台所や水まわりだけのイメージが強かった点もガラッとイメージが変わりました。家づくりに関しては想像以上に大変で辛くなることもありましたが、一つひとつこだわりが詰まった家が完成し、嬉しさと感謝でいっぱいです。大好きなものと自然に囲まれた新しい家で美味しい珈琲をゆっくり飲みながら家族時間を楽しみたいと思っています。
キッチン:内装壁タイル「WIG WAG」
内装床タイル「Chateau」
洗面室:内装壁タイル「Westport」
トイレ:内装壁タイル「Kolmio」 ※すべてHi-Ceramics
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