奥行きのある背景をつくる
クラフトタイル
「BISCUIT」は、平田タイルが世界中から集めたクラフトタイルのコレクションです。ものづくりに対する確固たる信念を持つつくり手が、素材や技法にこだわり、手間暇かけることで生み出されるクラフトタイル。これらを手掛ける熟練職人たちは、デザインやカラーリングのみならず、素地のディテールや凹凸、釉薬の厚みや光沢、質感、絵筆のタッチなどを巧みにコントロールする術を持っています。欠けや反り、色ムラ、歪みなど、ひとつひとつ表情が異なるのも、美しさのひとつといえるでしょう。
デジタルプリンティングをはじめ、耐久性や機能性を高めるなど、タイル製造の技術革新が進むなか、クラフトタイルはその対極にある存在といえるかもしれません。しかしながら、規格化された工業製品では成し得ない、唯一無二の空間を生み出すことができるものです。
工房独自の信念に基づくものづくり
そして、つくり手のなかには、倫理的な信念に基づいたものづくりを行う人々が数多くいます。例えば、タイルの焼成に太陽光発電を用いたり、管理された森林から採取した木材のみを使ったり、ブラウン管テレビのガラスをアップサイクルしたタイルを開発する工房もあります。あるメーカーは、原料を地場で調達するなど、地域の活性化につながるものづくりに取り組んでいます。
中でもクラフトタイルは、ものづくりの知識と技術の集積です。熟練のタイル職人はデザインやカラーリングのみならず、素地のディテールや凹凸、釉薬の厚みや光沢、質感、絵筆のタッチなどを巧みにコントロール。焼きものとしての魅力を最大限に引き出します。そして、欠けや反り、色ムラ、ゆがみなど、ひとつひとつ表情が異なるのもクラフトタイルならではの美しさ。なかには焼き上げたあと敢えて手作業で端部を削ることで長い時を経たかのような趣を持つタイルも。
感性に呼びかける、クラフトタイルの可能性
彼らの揺るぎない信念とクラフツマンシップから生まれたこれらのタイルは、建材の域を超えた価値あるプロダクトです。それはまるで工芸品のように、時代に左右されない普遍的な魅力を持っています。土がもつ力強さと繊細さ、ガラス釉薬のきらめき、レリーフがつくり出す陰影……。そんなタイルが暮らしの背景にあれば、空間は奥行きをまとい、生活がさらに豊かなものになるのではないでしょうか。
家具や照明のように、暮らしの風景にこだわる。その楽しさと豊かさを、「BISCUIT」はこれからも伝えていきます。