浮かび上がるレリーフが空間に美しい陰影を描く「ヴィクトリアンタイル」は、
19世紀のころ、イギリスで誕生したといわれています。
かつては手作業で生産されていましたが、近代化に伴って機械化が進み、
現在では大量生産され る製品がほとんどです。
しかし、今もなおこの伝統技術を受け継ぎながら
ものづくりを楽しんでいるタイル工房が、アメリカ「ポートランド」にあります。
ここで生み出されるタイルは、ハンドメイドならではの味わいがありながら、
現代の住まいに合う洗練されたデザインと色使いで、多くの人を惹きつけています。
特徴は何といっても釉薬。
色のバリエーションが豊富なだけでなく、艶の有無などの仕上げも数多くそろっているため、
その組み合わせ次第で幾通りものデザインパターンを生み出すことができるのです。
その表情の豊かさに、誰しもが魅了されるのではないでしょうか。
タイルの表面にある凹凸を生かし、
職人がひとつひとつスポイトにより手作業で釉薬をかけていくことで、自然と美しいグラデーションが生まれます。
工房では若い世代の職人たちが数多く活躍しています。
魅力あるものづくりにより、失われてはならない技術が連綿と受け継がれていくことでしょう。