空間に陰影をつくり出し、彫刻のように強い存在感を放つレリーフタイル「Croce」。
このタイルを手掛ける工房は、イタリア・エミリアロマーニャ州、
モデナ県南部のサッスオーロ市郊外にあります。
この地域は良質な土が採れたことから、
大きなタイルメーカーが軒を連ねる、タイルの一大産地として知られています。
▲粘土の塊を型に入る細かいサイズに切り分けます。
その多くが、デジタルプリンティングをはじめ、
最新の設備と技術でタイル製造を行うなか、「Croce」を手掛ける工房は、
1979年の創業から変わらない手仕事でタイルづくりを行っています。
▲柔らかい粘土を型に入れてプレスし成形します。
「Croce」は、手で粘土を型に押し込んでかたちづくる湿式プレス成形により作られています。
▲乾いた生地1枚ごとに余分なバリを取り除いていきます。
型から取り出した素地は、バリをやすりで削り、
形をととのえた後、裏面以外の全ての面に釉薬を丁寧にかけていきます。
粘土や釉薬といった原料もまた、この独特の立体的な造形をつくり上げるため、
その日の気候や湿度に合わせて調合されます。
▲高温の窯で焼き上げます。
直線的でコンテンポラリーなデザインながら、
こうした手仕事の痕跡を感じさせる揺らぎや歪みが加わることで、
独創的なフォルムが出来上がっていくのです。