白の奥行
Exploring White

もっともプレーンですっきりとした印象を与える色彩である白。日本では特に医療や冠婚葬祭、神社など神聖な場面で多用され清潔感をもたらす存在です。タイルを空間に取り入れる際、真っ先に白いタイルを想像する方もいらっしゃるかもしれません。同じ白と言っても少し黄味がかったアイボリーの様な白、瀬戸焼のような青味がかったクリーンな白など表現が多岐に渡る分、繊細な機微や奥行きを表現をすることができます。今回は白色の奥行きに視点を充て現代の白の表現をご紹介します。

 

生地の色+釉薬の色

タイル原料の土や石に含まれる成分によってベースとなる生地の色が決まります。お茶碗など陶磁器は土が採れる地域性が反映されるため赤褐色の土もあれば真っ白な陶石を含む土もあり、それぞれ信楽焼や有田焼などに代表される焼きものが存在します。これはタイルも同じで、生地の色が基本的な色の表現につながります。さらに表面にかける釉薬の色の組み合わせが焼いた際に反映されていきます。

モロッコの伝統的な製法でつくられた「エズラ」は素地のテラコッタと釉薬が掛け合わされて奥行のある表情に

湿式製法特有の粗面が見え隠れする表情豊かな「メイプルブリック

 

形や模様がもたらす陰影

白色は陰影をもっとも楽しむことができる色彩です。それぞれの季節や時間の流れにより光を柔らかく受け止め、空間の中がさらに多彩な表情を見せる点はタイルのもたらす豊かさです。そして、凹凸と質感にこだわることができるのはタイルの醍醐味のひとつ。特に壁にタイルを検討する場合は、形により白の表現を深めることができます。

立体的なトライアングル形状に釉薬を施すことで艶と陰影が生まれる「ロンビーニ

表面には様々な角度がつけられており不規則な反射が印象的な「フェノミナン

 

グラデーションの楽しみ

色調を段階的に楽しめるグラデーションも、白であれば比較的取り入れやすくおすすめです。プレーンになりすぎず、平面的な表現でも奥行きやリズムをもたらすことが可能。製品によっては床壁を統一して表現することができるため、より広範囲で空間の質感を整えることができます。

焼き物ならではの濃淡が美しい「ヴィータ

クライスラー」にはホワイトからグレーまで3種の異なるピースをMIX

混じり気の無い究極の白ボディに貫入が入った透明釉を施した「サボン

 

あらゆる色彩と相性が良く、全ての要素をフラットにする白色。プレーンな色だからこそ表現性を高め、洗練された魅力的な空間に引き上げることができます。ぜひ白の深さにこだわり、空間づくりの参考にしてみてください。

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