タイルは“焼きもの”の技術を受け継ぐ、陶磁器のひとつ。
色彩や形だけでなく、素地の材質感や釉薬の厚み、凹凸や色ムラ、反り、
歪みさえも風合いとして生かし、世界各地で多様な意匠を生み出し続けています。
質感を繊細に感じ分ける 日本人の感性にフィットする素材
器を手に取ってご飯を食べる食文化を育んできた日本人は、
陶磁器一つひとつの違いを感じ分ける、ゆたかな感性をそなえています。
マテリアルとしての幅広さと奥深さを併せ持つタイルは、
日本人の感覚にアクセスし得る素材のひとつだと考えられます。
施釉とは釉薬を施したタイル。さまざまな色や質感を表現するとともに、
ガラス質の釉薬の種類によっては撥水性や防汚性を持つものもあります。
貫入とは釉薬と素地との収縮率の相違から生じる、細かな“ひび模様”。
古来より焼きものの技法のひとつとして愛されてきた意匠です。
職人の手仕事により、筆で一つひとつ柄を“絵付け”。
アクセントとして数枚採り入れたり、アートのように好きな絵柄を選ぶ楽しみも。
無釉とは釉薬を施さないタイル。タイルの素地がそのまま表面となるため、
土そのもののあたたかみや、ざらっとした土らしい手ざわりを好む方に。
粘土状の土を“ところてん”のように押し出したり、液体状の土を
石膏型に流し込んで立体的に成形。照明や自然光による陰影もゆたかな表情に。
データで作成した柄をインクジェット施釉機により緻密に吹き付け、
石や木、鉄などの異素材や、施釉風のデザインを高精度に再現。