190年という長きにわたり伝統を受け継ぎながら卓越した知識と技術を活かし、タイルづくりに向き合う職人たちに会いに、フランス南部にあるのどかな街、ミヨーを訪れました。 日本から飛行機を乗り継ぎ、パリを経由してモンペリエへ。 ここから100kmほど北上し、1000mを超える奇岩が屹立する山間を抜けると、標高340mほどの谷間にある街、ミヨーにたどり着きます。
ミヨーが属するのはフランス南部、ミディ・ピレネ地方に位置する大自然に囲まれたアヴェロン 県。 同県には、世界遺産や中世の街並みがそのまま残る街が数多くあり、同県には世界遺産に登録されているコンクや、1000年以上前につくられた城塞が残るベルカステルなど、中世の街並みがそのまま残る街が数多くあります。 赤い屋根を擁する建物が連なるミヨーもその風情を感じさせる街のひとつ。
街の中心部に流れるタルン川沿いを1時間ほど歩けばのどかな住宅街が広がり、牛や馬が放牧され、どこかノスタルジー漂う風景に出会うことができます。 タルン川渓谷に架かるミヨー橋は、イギリス人建築家、ノーマン・フォスターとフランス人橋梁技術者、ミシェル・ヴィルロジューが設計した、ヨーロッパ一高い橋として知られています。 このエリアは霧が発生しやすく、雲海の中にミヨー橋の美しい造形が浮かび上がることから「天国に最も近い橋」と称され、2004年の完成以来、世界中から多くの人々が訪れています。 橋のコンテンポラリーな造形と歴史ある街並みのコントラストは、時に神秘的とさえ感じられるでしょう。
そしてこの街ではタイルに最適かつ良質な土を採取することができ、土の特性を最大限に活かし たタイルが作られています。 テラコッタのような小石混じりの薄茶色の素地は、釉薬をかけた後もその土の風合いを残した仕上がりとなります。 自然と遺産が数多く遺る豊かな地で育まれ、卓越した感性と技が光る彼らのものづくりは世界で活躍する数多くの著名な建築家やインテリアデザイナーを魅了させています。
では実際にどの様なタイルが作られているのか、次回はこの歴史ある街で作られる「Raujolles」 というタイルの魅力をお伝えします。どうぞお楽しみに。