モダンリビング編集長が考えるタイルの可能性とは?
Interview with Editor in chief of ML

雑誌『MODERN LIVING』と過去5回にわたり企画提案を行なってきた平田タイル。
先日発売されたMODERN LIVING No.265 でも住宅におけるタイルの実用性や新たなアイディアが紹介されています。企画を共に行なってきたMODERN LIVING 編集長の高坂敦信さんにタイルの魅力や可能性についてお話を伺いました。

 

日本の暮らしを、これからどのようにしていくのか

『MODERN LIVING』は、戦後間もない1951年に『婦人画報』の別冊として創刊しました。
日本の暮らしをこれからどのようにしていくのか、どうしたら日本の暮らしがゆたかになるのかということを70年以上考え続けてきた編集部は、雑誌による発信に留まらず、一般の方の住宅に観葉植物をレンタルする「LOVE GREEN」や、住まいのインテリアをコーディネートする「MLスタイリング」も展開。さまざまな方法で読者の方のリアルな声にふれながら、常に新陳代謝をはかってきました。

 

床、壁、家具、-”素材感”が空間への関心を高めるきっかけに

現在、日本の住まいについて大きな傾向のひとつは、家の外装も内装も家具も含めて、素材のバリエーションが豊富になってきているということです。”素材感”がゆたかになることで、家具や壁、床=空間に対する感覚的な関わりが生まれます。たとえば、光の微細な変化を壁の素材がキャッチし、表情を移ろわせていくことで、それを体験した人の空間や時間の感じ方がゆたかになる。自分がその空間に居ることに対する実感や意味合いが深まり、建築家やインテリアデザイナーが空間に込めた意図をより感じやすくなり、住空間への興味、関心が高まる、ということが起こり得ると思います。

 

建材とプロダクトの中間的な存在であるタイルの魅力

近年では木の家具によって”素材感”が空間に採り入れられ、浮造りの床や個性的な仕上げのガラスの壁など、多様な選択肢に目が向けられるようになりました。そのような流れのなかで、「タイル」はこれからの住宅建築において大きな役割を担える存在だと感じています。

タイルは空間に”素材感”を表現できるものですが、例えばタイルが浮造りの木や漆喰の壁と違うのは、陶器・焼きものであることです。北欧などでアーティストによって絵付けされた陶板が作品として評価されているように、タイルは建材とプロダクトの中間的な存在としての魅力をそなえています。好きな質感や色、触感のタイルを選び、その貼り方や目地の色を選ぶことで、家具やアート、ラグを選ぶ感覚に似た楽しみも広がっていきます。

▲「壁と床の感度を高めよう!」モダンリビングNo.242 掲載

照明計画や家具選びにも、影響を与える存在

このようなタイルの魅力を日本の住宅インテリアの状況に適したかたちで提案するために、『MODERN LIVING』は平田タイルとともに、さまざまな特集に取り組んできました。初めての企画「壁と床の感度を高めよう!」(モダンリビング No.242)では、住む人の感性を投影しやすい場所として、インテリアで占める面積の大きな壁と床に着目し、タイルを暮らしの表舞台へと連れていきました。ゴールドタイルを部屋の一角に用いたCOZY CORNERの提案では、照明を近くに配して昼と夜の違いを楽しむ試みのなかで、タイルが照明計画や家具選びをも左右するのだということを実感しました。

 

 

▲「コージーな居場所のつくり方」モダンリビングNo.254 掲載

アートのような感覚で全景もテクスチャーも楽しめる

「コージーな居場所のつくり方」(No.254)という特集では、私たちが住まいのなかで最も大切だと考える「コージーさ」をテーマに、タイルを生かしたBAR空間やSTUDY CORNERを提案しました。この号で改めて感じたことは、タイルは全景と近景の両方のテクスチャーを楽しめるということです。アートを引いて見ると作品全体、寄って見ると微細な筆使いまで見て取れるように、カウンターやデスクに腰を下ろし、目の前に自分の気に入ったテクスチャーがあれば、それが心地よさをより高め、コージーな居場所につながっていく。このような企画を何度も読者に繰り返しお届けできたのは、やはりタイルというものが素晴らしい取材対象だからです。我々の編集力を試される、非常に手強く、かつ魅力的な存在であり続けると考えています。

 

MODERN LIVING  No.265

特集|家は究極の自己表現

 

家は究極の自己表現であり生涯続けられる趣味です。住み手の感性と建築家の経験値との理想的なコラボレーションから生まれた、唯一無二のオーダー住宅を紹介しています。

(モダンリビングNo.265 2022年11月号)

 

 

 

 


『MODERN LIVING』×平田タイルの特集記事が読める号

・「壁と床の感度を高めよう!」(モダンリビングNo.242 2019年1月号)

・「インテリアに自分らしさを美しく演出する方法」(モダンリビングNo.244 2019年5月号)

・「コージーな居場所のつくり方」(モダンリビングNo.254 2021年1月号)

・「選択肢の多さが豊かさをつくる」(モダンリビングNo.260 2022年1月号)

・「壁を知的に彩るコーディネート」(モダンリビングNo.265 2022年11月号)


 

 

モダンリビング  |  MODERN LIVING

編集長
高坂敦信(Atsunobu Kosaka)
株式会社ハースト婦人画報社

 

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