アメリカ南部、荒涼とした灼熱の地に独特の製法により
タイルを手づくりする小さな工房があります。
▲メキシコに程近いアリゾナ州中心部、フェニックスの風景
そこで作られる製品は、砂漠においても強く美しく育つ
サボテンやその花のような輝きを持っています。
▲工房の入り口はタイルで囲まれている
その工房ではオーナー自らがデザイン、そして焼成、絵付けに至るまで、
すべてを管理し、一貫した製造を行っています。
▲流れるゴンドラのような設備にタイルを乗せ、そのまま焼成窯に入っていくという独自の焼成方法
多くの人を魅了しているのは、その独創的なパターンと重厚な質感。
いったん焼き上げた素地は、釉薬をかけて窯入れを行います。
これを幾度となく繰り返すことで生まれるのが、独特の深みある表情です。
▲オルキャトルシリーズは箔をタイルに乗せ、ローラーで定着させる
また、絵付けは職人が手で描くため、
ひとつひとつ表情が異なり、それが個性となっていくのです。
▲シルクスクリーンの技法で1枚1枚絵柄をペイントしていく
手間と時間を要するこの工程を経て出来上がる製品は、一日にごくわずか。
それでも、人の手にしかつくり出せない表情を追求し、
今もなおハンドメイドでのものづくりにこだわっているのです。
▲アンティークな風合いを出すために柄のペイント後に角を削る工程も
オーナーがかつて日本を訪れた際に、伝統的な織物の文様や色合いに出会い、
インスピレーションを受けたデザインの製品も数多くあるといいます。
だからこそ、日本の住まいにしっくりとなじみ、私たちにどこか懐かしい、
あたたかな気持ちを与えてくれるのではないでしょうか。